ひとり親style ~それぞれのかたち~ 第5回

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鳥イラスト アイコン ひとり親style ~ それぞれのかたち ~ プロフィール
【 第5回 】 波柴純子さん (Cras-i design ファイナンシャル・プランナー)



自分の暮らしを自分でデザインする楽しみを
ひとり親に伝えたい!

Cras-i design / ファイナンシャル・プランナー 波柴純子さん

2013年にファイナンシャル・プランナー(以下FP)として独立したばかりの波柴さん。 お仕事を通じて蓄積された正しい知識と情報から、ひとり親の私たちに指針を示してくれたように感じます。ポジティブで真っ直ぐな心が魅力的な波柴さんの言葉には熱い思いとメッセージが込められていました。  

アイコンQ:2013年にFPとして「Cras-i design」を起業されていますが、起業前の会社員時代のお仕事と当時の子育てについて教えてください。

コンテストにて
会社員時代に出場したコンテストにて
 出産前はIT系の広告代理店で営業をしていたのですが、妊娠をきっかけに産後もずっと最新情報にアンテナを張り続けるのは難しいと考えて退職しました。その後、娘が3歳の時に離婚して再就職先を探し始めましたが、時間の制約があり実家も遠い私は、どこに行ってもなかなか採用に至りませんでした。そんな時、登録していた求人サイトを通じて生命保険会社の個別相談専門部署でのファイナンシャル・アドバイザー職のオファーを頂き、金融は未経験ながらも面白そうな仕事だと直感して採用説明会に行きました。  その部署では当時コーチングを取り入れた研修が予定されていて、私も興味を持っていたので早速一次面接に臨みました。一通り自己PRをすると、後に上司となる面接官は「やる気は伝わってきたが、今までこの部署ではひとり親はおろか子どもがいる人で続いた人がいない」「この部署は専門的なプランニングを行っていて、皆遅くまで資料作成などをしている。その中で本当にやっていけるか二次面接までに検証してください」と猶予をくれました。私自身もそこが心配でしたが、帰宅して再度考えたとき、大変な仕事だからこそ挑戦したいと思いました。もちろん働くのは生活のためでもありましたが、やりたい仕事を諦めるのに子どもを言い訳にしたくなかったのです。  そこで会社近くに24時間保育所を探して、そこに預ける覚悟だと最終面接でアピールしました。それでも「働き始めてやっぱり無理だったとすぐに辞められては困る」と言われましたが、「今が大変でも、娘が大人になったとき、自分の後ろ姿が指針となれる働き方をしたい」という思いが自然と口をついて出ました。そういう受け答えを準備していたわけでもなく、今思うとなぜそんなに強く主張できたのか、直感としかいいようがないですが、どうしてもこの仕事を通じて成長したいと思いました。  そして採用された後、上司から「本気なのは充分分かった。だからこそ制約された時間の中で工夫してほしいし、保育園の迎えが間に合わなければ行ってやる」と言っていただき、一人で頑張らなくてもいいんだと、肩の荷が下りる思いでした。初めての金融の研修は大変でしたが、感謝と恩返しの気持ちでとにかくやれることをやろうと決め、毎日が時間のやりくりの訓練でした。  もちろん、娘の急病で仕事の予定を変更したり、保育園のお迎えが間に合わないときもありました。そんなときは私の必死さが伝わるのか、近所の方やママ友が救いの手を差し伸べてくれたり、お客様も理解してくれました。上司や同僚も理解してくれ、職場の飲み会にも毎回娘連れで参加したりと、周囲のお陰で仕事を続けることができました。  入社2、3年経っても続いている私を、事業部が求人募集広告や自社HPに先輩の姿として取り上げるようになり、それを見て入社した後輩やお客様から「子育てと仕事」に関する相談を受けることが増えました。話を聞くと、周囲の働き方に合わせようと無理をしたり、理解者がいなくて孤独な思いをしている方がとても多いことを感じ、「もっと子育ても仕事も自ら楽しもうという意識を伝えて、頑張っている方がもっとラクになれるサポートがしたい!励みになりたい!」と思うようになりました。  

アイコンQ:起業された現在のお仕事についてもう少し詳しく教えてください。

★サンプル画像★
シェアオフィスでのお仕事風景
 FPの仕事はとても幅が広いのですが、私は現場で人と関わる生身な体験を大切にしています。主にセミナーと個人の方のプランニング(相談業務)に力を入れています。プランニングで心掛けているのは、お客様自身が主体的に人生をデザインしていけるようにサポートをすることです。各自の価値観や希望への優先順位を整理しながら、実現のための方向性を共有する作業が重要になります。この相談スタイルは、いろいろな分野の個別相談に応用が可能だと好評なので、相談力向上のための研修事業も企画しています。  私自身が講師業を務める傍ら、セミナーやイベントのコーディネートの依頼を受けることも増えました。何をするにもお金は絡むものなので、特にお金をテーマにしたセミナーは異業種とのコラボレートに発展することが多く、最近は仕事を通じて出会った方とのつながりが広がっているのを感じます。独立して一層「人」とのご縁が大切だと感じているので、今後はこのネットワークを活かして情報発信する力を高めていきたいと思っています。  

アイコンQ:なぜ6年半勤務した会社を辞めて、独立されたのですか。

プロボノでの様子
プロボノでの発表の様子
 会社にはとても感謝していて、充分な恩返しができなかったことは今でも少し心残りです。それでも辞めたのは、FPとしての視点を大事にしながら、金融機関の枠にとらわれずに活動したかったからです。現在企画中の研修事業やイベントコーディネートも、独立したことで自由に企画して行えるようになりました。  ひとり親の支援事業もその1つで、私自身がFPになってお金と正しく向き合えるようになった経験を他のひとり親にも伝えたいと思いました。金融機関にいる限りはビジネスになりにくいテーマでしたが「ひとり親こそFPが必要だ」という思いは、独立後、プロボノ(本業の知識やスキルを使ったボランティア)として行った、ひとり親のためのシェアハウス事業のリサーチを通じて、ますます強くなりました。最近は行政から「ひとり親のマネープラン講座」の依頼も受けています。  近年、行政のひとり親支援が福祉寄りになりつつあります。私もひとり親として児童扶養手当のおかげで生活が出来て今があります。とはいえ少子高齢化が進んでいく中、福祉の財源は有限なので、給付金に頼るのではなく、上手に活用しながら自立を目指す意識が必要だと発信していこうと思っています。  

アイコンQ:離婚、就職、独立、そして育児とどの時期も大変だったと思います。その中でひとり親であったことが強みに感じられたことはありますか。

ツーショット
娘さんとのツーショット
 ひとり親になったばかりの保育園のころは、いつもお迎えが最後で真っ暗な中を娘と歩いて帰ることに罪悪感がありました。でも、ある日娘が「見てママ、お月様がきれいだよ」と言ったんです。そのひと言に「この時間に帰るから、二人でお月様が見られたんだね!」と、とても幸せな気持ちになりました。そんな日々のささやかな出来事から「2人っきりで寂しい」のではなく、「2人だから楽しい」と考えられるようになりました。  娘はいろいろなことをポジティブに捉えられる性格で、すぐに感情的になったり落ち込んだりして頼りない私を理解してくれている気がします。「この子のおかげで心置きなく仕事を楽しめている」と思います。   ひとり親になったころはもっとしっかりしなきゃと思うこともありましたが、最近はいい意味で緩くなれて、良い母親であろうとかを気にしなくなりました。  

アイコンQ:日々お忙しいと思いますが、どのようにリフレッシュされていますか。

 娘も私も食べることが大好きなので、シェアオフィスの仲間と一緒によく食事会をします。私はお酒も好きなのですが、つい飲みすぎて娘に怒られてしまうこともあります。  昨年からは家に生花を絶やさないようにしています。不思議なことに、自分がパワーダウンしているとお花も下を向いているんです。そんなときは自分にパワーをくれたお花に感謝した上で替えて、自分の気持ちもリセットしています。  私は常に「ニュートラルでいたい」「浄化されたい」と思っているので、神棚を供えて毎朝感謝を伝えるようにしています。以前は、毎日その日にあった「幸せ」を、娘とお互いに3つずつ話してから寝ていたのですが、最近一緒に寝てくれなくなったので、神棚に向かって「幸せ」を意識するようにしています。  

アイコンQ:最後にひとり親の方へのアドバイスをお願いします。

 ひとり親に限らず、将来に不安を抱えている人は多いですが、大切なのは、「望む未来は自分がかなえるものだ」という意識を持つことです。他人や運命に振り回されるのではなく、自分だけが自分の幸せを実現する力を持っていると信じてください。  確かにひとり親は大変です。でも、どの家庭にも「その家族だけの幸せ」があります。一見ネガティブな出来事も、それを乗り越える力がある人にしか起こりません。悲観したり不安を募らせるのではなく、その出来事からのメッセージを感じとり、自分の直感を信じて少しでも行動すること。そうすれば、自分にとっての幸せに近づけるようになると思います。 ライン portlaitCras-i design ファイナンシャル・プランナー  波柴純子さん プロフィール 1973年生まれ。 シングルマザーになったのをきっかけにFPの勉強を始め、保険会社の個人相談専門部署のファイナンシャル・アドバイザーに転職。 2013年にファイナンシャル・プランナーとして独立。 趣味はおいしいものを食べること。ワインが大好き。 2003年生まれの娘がひとり。 ■Cras-i design:http://www.cras-i.com/        

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